原則的に自然に治ることはあまりありません。
歯並びが悪ければ
- 見た目が良くない。
- ものがきちんと噛めない。
- 発音がおかしくなる。
- 虫歯、歯ぐきの炎症が起こりやすくなる。
- お口のことだけにとどまらず、体全体に悪い影響がでる。
例えば、アゴが十分発達できなかった人は、舌の部屋が狭いままです。そうなると、舌はのどに落ち込んで酸素不足になります。それによって、疲れやすかったり、頭痛がしたり、落ち着きがなかったりなどの不定愁訴の原因になることがあります。
下顎前突(受け口)の子どもさんは今までは健診で指摘されても、自然に治ることが多いので、前の永久歯がはえるまで様子を見ましょうと言われたことが多かったようです。しかし、本当に永久歯になる時にかみ合わせが正常になることが多いのでしょうか?確かに3歳までは約50%が正常なかぶさり具合になるようです。
でも、それ以降、永久歯がはえるまでに正常なかぶさりになるのは6.4%にすぎず、残り93.6%は自然治癒しないというデータがあります。また本来、下の前歯は上の前歯におおわれていることによって前に出ることの制約があります。
しかし、かみ合わせが反対になっているとストッパーがなく、どんどん下アゴが前に出て行ってしまいます。それと同時に上のアゴは下の歯から前に押し出される刺激によって大きくなるので、反対咬合を放置しておくと上のアゴも発達できません。
また、上顎の骨と下顎の骨は大きく発育する時期が異なります。下顎前突(反対咬合)といわれる症例は下顎が大きい場合よりも、上顎が発達せずに相対的に下顎が出ている場合が多いのです。
上顎が大きく成長する時期は下顎のそれよりも早い時期ですので、反対咬合の方は少しでも早くかぶさりを正常にする必要があります。最近は低年齢から使用できる装置も出ていますので、なるべく早くご相談下さい。以前は低年齢の反対咬合のお子さんは「しばらく様子を見ましょう。」でしたが、今は「被蓋を正常にして様子を見ましょう。」が正しいのです。
上顎前突の子どもさんは本当に上顎が大きい人よりも下顎が後退して、相対的に上顎が出ている場合が多いのです。早い時期に下顎を前に出すことによって正常なパターンに近づけられることがあります。また、狭くなった上アゴを正常に広げることによってできたスペースに出っ歯をひっこめて並べられる可能性があります。
しかし、早期に治療を開始したからといって、全部がそれだけで治るというものでもありませんし、全く抜歯をしないで済むというものでもありません。ただ、最終的にそういうことになったとしても、何もせずに放置していた場合とは状態が異なります。